少し早いですが、ハロウィン話です。
シュナ様がシュナ様らしくない気がします。
勢いで書いたので済みません；

それでもいい方はどうぞ！

ブリタニア帝国、王宮内。
まだ幼いルルーシュとナナリー、そしてユーフェミアは各自仮装をして闊歩していた。
「次はどなたがいいかしら？」
「そうだな、父上、オデュッセウス兄上、コーネリア姉上にももらったし…残るはシュナイゼル兄上か」
「じゃぁそうしましょう！行きましょう、ナナリー！」
ユーフェミアはそう言うとナナリーの手を引き走り去っていく。
「あ！王宮内は走るんじゃない！！」
ルルーシュの注意も空しく既に可愛らしい仮装をした二人の姿は見えなくなっていた。
「はぁ…」
ルルーシュは一つ溜め息を吐き出し、二人を追い掛けるように歩いていく。



＊ ＊　＊



ーコンコンッ

「どうぞ」
招きの言葉に従ってそっと扉を開ける。
そこにはデスクで仕事をしているシュナイゼル。
「失礼します。あれ？ナナリーとユフィは…？」
「あぁ、可愛らしい魔女と猫さんなら次のターゲットを狙いに行ったよ」
シュナイゼルは微笑むとルルーシュにそう告げた。
「そうでしたか。今、お邪魔ではないですか？」
「大丈夫だよ。むしろルルーシュの為なら時間を作るけれどね」
さらりと言ってのけるシュナイゼル。
けして宰相の仕事量が少ない訳でもないのに。
「ではTrick　or　Treat！」
「はい、どうぞ。可愛い私の吸血鬼さん」
「お忙しい兄上がお菓子用意してるなんて」
ムッと眉をしかめ、つまらなそうにお菓子を受け取る。
「おや？嬉しくないのかい？」
「嬉しいですけど…」
マントを広げ、悪戯グッズを披露するルルーシュ。
「凄いね、ルルーシュ。今年は一体何人にお菓子を貰ったんだい？」
「父上と兄上方とコーネリア姉上です。あとはラウンズたちと会った人に」
「沢山貰ったんだね」
「皆お菓子用意してるんです」
「それはそうだろうね」
シュナイゼルは昨年のことを思いだし、ふふっと笑った。
それはハロウィンのことを知らなかった父シャルルがされた悪戯に由来する。
まさかあの髪を切り落とすなんてことする人間がいるとは、とその時誰もが思ったがルルーシュは容赦なくやり遂げた。
その横でルルーシュの母、マリアンヌが大笑いしていたのも記憶に新しい。
「ルルーシュ、Trick　or　Treat？」
シュナイゼルはルルーシュを抱き上げ、膝の上に乗せると、そう言った。
それにはルルーシュも瞳を見開き驚く。
「逆は考えなかったようだね。お菓子がないのなら悪戯してしまうよ？」
シュナイゼルは楽しそうに微笑む。
「お菓子なら…」
「駄目だよ、人から貰ったものは」
「うぅ…」
「ルルーシュ…顔を上げて」
シュナイゼルはルルーシュの頤を掴み引き上げると、ふっくらしたピンク色をした可愛らしい唇へとキスを送る。
そして舌で唇をなぞり開くように仕向けると、歯列を割り、ルルーシュの舌に己のものを絡ませる。
「んぅ…ッ」
濃厚なキスにルルーシュはぶるりと震える。
シュナイゼルはルルーシュの口内を充分に蹂躙しつくすと唇を離した。
糸を引く唾液、ルルーシュは呆然とそれを眺めた。
「美味しかったよ。ご馳走様」
「ぁ…に、うえ？」
「さぁルルーシュ、可愛い魔女さんたちを追い掛けなくていいのかな？」
「ぁ…」
シュナイゼルは自身の膝からルルーシュをそっと降ろすとそう告げた。
はっと我に返るルルーシュ。
頬だけでなく耳元まで紅く染め、一目散にドアへ駆け寄る。
「失礼しますっ」
そんなルルーシュを見てシュナイゼルはくすくすと微笑う。
「まだ早かったかな？」
呟くと目の前の書類に意識を戻した。



＊　＊　＊



数年後。
宰相の執務室での出来事。
シュナイゼルは突然傍に居たルルーシュに囁いた。
「Trick　or　Treat」
「その手には引っ掛かりませんよ」
ルルーシュはそう言うと隠し持っていた菓子をシュナイゼルの手に置いた。
「私は菓子なんかよりも甘い君が欲しいのだがね」
「そんなこと言ってる暇があったら仕事をして下さい」
宰相補佐として厳しく切って捨てる。
「ではこの書類を終わらせたらいいのかい？」
「出来るものならしてみて下さい」
デスクに置かれている書類だけでも３日はゆうにかかる量だ。
いくらシュナイゼルでも無理だろう。
だからルルーシュは言う。
「もし出来たら兄上の言うことを一つ聞きますよ」


だが何事にもイレギュラーがあることをこの時のルルーシュは知らない。

[8回]