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前サイトからの転載になります。
HNもサイト名も異なりますが本人ですので。

新しいものだけをと思っていたのですが、気づいて欲しい気持ちが出てきたのでこのようなことになりました。
や、気づかないとは思いますが。

それではどうぞ。





 
「ルルー「ルルーシュ!」」
 
その日のアリエス宮に少年たちの声が響き渡った。
 
「「…」」
 
―カツカツカツ
 
―カツカツカツカツッ
 
少年二人は顔を見合わせると競歩かと思うくらいの速さで歩き始める。
 
「兄上」
 
「クロヴィス」
 
「「ルルーシュは今日、私(僕)と遊ぶんだ(です)」」
 
「「……」」
 
ルルーシュの居るだろうテラスへひたすら押し合いへし合い向かいながら、なんとか無傷で到着する。
 
「「ルルーシュ!」」
 
「シュナイゼル兄上とクロヴィスではありませんか」
 
そこには第二皇女であるコーネリアの姿が。
そして目的のルルーシュはコーネリアの膝の上。
 
「にいたま~v」
 
にこーっと微笑みながら両手を振り上げ喜ぶルルーシュに思わず二人は口元を抑える。
 
「なんて…」
 
「ルルーシュ…犯罪的な可愛さだよ」
 
犯罪的なのは兄上の頭だ、とコーネリアは思ったが口には出さず、とりあえず用件を尋ねる。
 
「いや、ルルーシュと最近会っていなかったからね」
 
「僕はルルーシュと遊ぼうと! そんなことより、コーネリアは何故ルルーシュと?!」
 
勢い込むクロヴィスにコーネリアは身体を引き気味にしながら、マリアンヌに頼まれたと答える。
シュナイゼルはというと、側近が見たら大層嘆くであろう有様であった。
コーネリアの膝上のルルーシュに向かってしゃがみ込んで手を振る様は第二皇子にあるまじき行為だ。
 
「ルル~v 今日は何をしようか?」
 
「にいたま~v」
 
きゃっきゃとはしゃぐ幼いルルーシュにデレデレに表情を崩しながら、シュナイゼルはさり気なくコーネリアの膝上からルルーシュを抱き上げる。
コーネリアはハッとしたが、シュナイゼルには敵わないと早々に諦め、シュナイゼルとクロヴィスの分の紅茶を用意し始める。
 
「あ! 兄上ずるいですよッ」
 
「ふふっ、早いもの勝ちだよ。なぁ、ルルーシュv」
 
ふっくらしたルルーシュの頬に口付けながらシュナイゼルはコーネリアの座っていた正面の椅子へと腰掛け、ルルーシュと戯れる。
表情を緩ませ、幼子を抱く様は本当に普段の第二皇子を知るものなら信じられない光景だろう。
 
「ルル~v 今日はお前の好きな苺プリンを持ってきたんだよ~vV」
 
「ぷりん~vV」
 
『プリン』という言葉に反応したルルーシュはシュナイゼルの膝の上からテーブルへと手を伸ばす。
危うく落ちそうになるが、シュナイゼルも慣れたもの、ジタバタとするルルーシュを難なく支える。
クロヴィスはというと、仕方なくルルーシュの正面…つまり、コーネリアの座っていた椅子に腰掛け、いそいそと画材を取り出し、絵を描き始める。
 
「兄上とルルーシュ…悔しいですが絵になりますね」
 
クロヴィスが悔しげにそう言うとシュナイゼルは当たり前だろうと口端を上げ微笑む。
そしてシュナイゼル自ら、ルルーシュの分の苺プリンを開け終える頃、丁度良くコーネリアが部屋からティーセットを持って現れる。
 
「…クロヴィス」
 
コーネリアは自分の席を取られ、怒りに声を震わせながらクロヴィスの名を呼ぶ。
だが被写体に夢中なクロヴィスは気が付かない。
こうなったクロヴィスに何を言っても聞こえないと溜息を吐くと、クロヴィスの隣の席に着き、二人に紅茶を差し出す。
 
「あぁ、ありがとう」
 
礼を言いながらもルルーシュにプリンを食べさせることに夢中なシュナイゼルはおざなりに言葉にする。
 
「ルルーシュ、美味しいかい?」
 
あむあむとプリンを食べる様はシュナイゼルでなくとも愛らしいと誰しもが思うだろう。
シュナイゼルはルルーシュの頬に付いたプリンを舐め取り、ルルーシュの柔らかなマシュマロのような頬を指先で突付く。
それにルルーシュは嫌がり、ふるふると首を振る。
 
「ゃ~の! にいたまきらいなの!」
 
「る、ルルーシュ…」
 
ガーンッと音がしそうなほど顔色を無くし落ち込むシュナイゼル。
それを流石に哀れんだコーネリアがルルーシュに進言する。
 
「ルルーシュ、兄上を許してやってくれ。ルルーシュが可愛いからついつい苛めたくなっちゃったんだ。子供だろう、兄上は」
 
「…ぅ~、にいたま、こども? るるとおなじ??」
 
ぷくっと頬を膨らませながらシュナイゼルに問うルルーシュ。
そんなルルーシュも可愛いと抱き締めたくなる気持ちを必死で抑え、「そうだよ」と答える。
 
「ルルーシュ、兄様を嫌わないでくれ」
 
「ぁう。にいたま…だいすきなのv」
 
情けなく眉根を下げ、お願いするシュナイゼルにルルーシュはにこりと微笑い、シュナイゼルに抱きつく。
そして疲れたのだろう、その胸の中でうとうととし始める。
 
「ルルーシュ…」
 
「にぃ…たま~……」
 
シュナイゼルはこれほどの至福はないとばかりに最高の笑みを浮かべ、ルルーシュの柔らかいふわふわ艶やかな黒髪を撫ぜる。
そうすると完全にルルーシュは寝てしまい、その場にはルルーシュのすやすやとした寝息だけが支配した。
 
 
そう誰もその眠りを妨げない
 
 
この幼子は私達
 
 
 
否、私が守ろう
 
 
 
 
ずっと、ずっと…永遠に―
 
 
 
 
 
【終】
 
 

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