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今回はけもみみです。
書きかけがあったので。

途中から文が変わってたらすみません;

ではけもみみドンとこい!な方はどうぞっ♪


スザクはその日、久しぶりに特派から休暇を貰い、街へと出ていた。行く当てもなくただ歩いていた。遊ぶ友達もいない、彼女もいない。自嘲しながら歩いていると、声がかかる。

『そこのお前! どけっ』
 
声のした方へ顔を向けると影が出来、何かが空から降ってきた。反射的に腕を差し伸べ受身を取る。

「ぃたた…」

「ッだから、どけと言っただろう!?」

腕の中を見るとそこには一人の子供がいた。しかし…これは?
スザクはその目の引いたものに触れる。

「ほぇあ! ッさ、さわる…な!」

それは合ってはならないもの。なんと、その助けた子供には猫耳が付いていた。しかし触るなと言われても気になるものは気になる。それにスザクは無類の猫好き。いくら嫌われようとも…。

スザクは触るなと言われるも今度は尻尾は無いのだろうかときょろきょろと探し、見つけるとその警戒からか毛の逆立った尻尾を摑む。

「ふぇッ! や、やめっ」

尻尾を触られた途端、耳を垂れふるふる震える身体。流石に可哀相に思え、尻尾を放す。

「君…」

「ッ! なんだ!?」

「人間?」

人間なのだろうか猫なのだろうか当然の疑問に目の前の子供は目をキリリと吊り上げスザクを睨みつける。

「人間なんかと一緒にするな! 俺は猫神だぞ!」

「…猫神?」

「そうだ! あ、今化け猫と一緒にしただろう、お前?! 猫神は偉いんだぞ!」

誇らしげに胸を張る姿は微笑ましくスザクの顔に笑みが浮かぶ。何せ、その子供はそこらの子供と比べ非常に可愛らしい。

艶やかな黒髪にきらきらと輝く瞳は高貴なアメジスト。絶妙な配置で構成されたパーツはその子供を美しく飾っていた。

「やっぱりお前、馬鹿にしているだろう?!」

「ううん。ただ可愛いな、と思って」

「俺は男だぞ、可愛くなんかない!! まぁいい。助けてくれたお礼にお前の願いを一つ叶えてやる! 何でも言え!」

スザクはきょとんと目を丸くすると、考えるそぶりをするが、何も思いつかない。

「特に何もないんだけど…」

「何かあるだろう、言え!」

「ぅーん、それじゃあ君の名前を教えてくれるかな?」

「人に尋ねる前に自分が名乗るのが先だろう。俺はルルーシュ・ヴィ・ブリタニアだ。よく覚えておけ!」

「ルルーシュか。ごめんね、僕は枢木スザク」
眉根を下げ、申し訳なさそうに謝るスザクにルルーシュと名乗った自称・猫神は「男が簡単に謝るな!」と怒鳴り、ぴょんっとスザクの上から退く。
スザクはルルーシュの重みが無くなったことに少し寂しさを感じながらも、立ち上がり付いた埃を払う。

「で、願いはなんだ?」

「えっ、もう聞いたけど…」

その応えにルルーシュは腰に手をやり、随分上にあるスザクの顔を睨みつける。

「そんなので帰ったら俺が兄上たちに笑われるだろう?! 何でも叶えてやる、言え!」

猫神は義理堅いんだ、とルルーシュは言う。が、本当にスザクには思いつくことがない。

「…じゃあ、今日一日一緒にいてくれる? 暇なんだ、今日」

「…子供だと思って馬鹿にしてるのか?」

睨み付ける瞳がうるうると潤み始め、スザクは慌てる。

「ち、違うよ! ルルーシュを馬鹿にしてるとか信じてないとかじゃなくて、本当に今日暇なんだ。だから…」

「わかった。じゃあ、今日一日付き合ってやる。何か思いついたら言えよ」

「う、うん」

スザクはホッと息を付き、でもこのままでは不味いなぁとも思う。何故なら猫耳と尻尾を付けた子供を連れて歩くなんて変態だと思われるのがオチだ。
どうすればいいか…と考えていると下から服を引っ張る感触が。

「?」

「何を考えてる? どうせお前のことだから俺の姿を気にしているんだろう? 安心しろ、他の奴には耳も尻尾も見えない」

考えていることを当てられ、ルルーシュの聡明さにまた驚く。

それじゃあ、と離れないようにルルーシュの手を取った。





*****





数時間後。
結局どこに行くとも思いつかず、ただスザクのお気に入りの場所へ案内するだけで終わり、日も暮れ始めた頃、ルルーシュが急に立ち止まる。
ルルーシュはスザクの手をぎゅっと握り、耳を一度震わせるとスザクを見上げる。

「…願いは決まったか?」

「うん。ただその前に連れて行きたいところがあるんだ。いい?」

「…あぁ」

ルルーシュは何故か痛む胸を押さえ一度俯き、スザクを見ると精一杯微笑む。その綺麗な笑みにスザクは微かに頬を染め、だが頭を振り、ルルーシュの手を引く。
どちらも黙り無音の続く中、スザクがルルーシュに一番見せたかったものが見え始めた。
小高い丘の上、綺麗な夕日が見えた。

「ここから見える夕日が一番好きなんだ。何かあると絶対ここに来る。ルルーシュも気に入ってくれるといいけど…」

「…綺麗だな」

「良かった」

「「……」」

そしてまた無言が続く。黙って日が暮れるのを二人で見る。

日が暮れきった頃、二人して声を発する。

「あの、ルルーシュ!」

「スザク!」

「あ、先に、」

「ッお前が先に言え」

 気まずい雰囲気が流れる中、沈黙を破ったのはスザク。

「願い事なんだけど…」

「…なんだ?」

わかっていたのかルルーシュは顔を背け、スザクを見ないように問う。


「…これからも一緒にいてくれないかな?」


「ッ! それは…」

「今日、一日ルルーシュと居てとても楽しかったんだ。ルルーシュと離れたくない。今別れたらもう会えない気がするんだ」

「俺もお前と離れたくない。だけど、それだけは…」

「…無理なんだね。ごめん」

スザクは握っていたルルーシュの手を離す。ルルーシュは思わず離された手を取る。

「いや、無理なんかじゃない! 俺もお前と離れたくないッ! 例え、掟を破ろうとも…」

ルルーシュはスザクの腰に腕を回し、離すまいとしがみ付く。
スザクはそれに微笑む。


「ルルーシュの罪は僕の罪だよ」


すっとルルーシュの肩を押し顔を合わせるようにしゃがみ込むと、ルルーシュの頬へと口付ける。
 



それを見ていたのは夜の空に浮かぶ月のみ



 
 
これが二人の出会い

 



【終】

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